名前の由来は水平対向エンジンを表す「ボクサー」と、ポルシェが扱うオープンモデルの呼称「スピードスター」を掛け合わせた造語からきています。
初代ボクスターは1996年に登場。
新規開発されたM96 水平対向6気筒エンジンをミッドシップに搭載しています。価格帯や搭載されるエンジン、そしてポルシェ・911に配慮して抑えられたエンジン出力によりエントリーモデルとしての性格が与えられています。
718ボクスターでは6気筒NAから4気筒ターボになり、低回転から最大トルクが発生するようになりました。インテリアはポルシェシリーズ共通の高級感があり、シートはアルカンターラが標準、オプションでレザーシートが選べます。
主なグレードはボクスター・ボクスターS、981型から追加でボクスターGTS・ボクスタースパイダーですが、986型ではボクスターエクスクルーシヴやボクスターS550スパイダーエディション、987型ではボクスターRS60スパイダー(世界1960台・日本37台)やボクスターS ポルシェデザインエディション2(世界500台・日本10台)、ボクスターSブラックエディション(世界987台・日本25台)などの特別限定車がありました。
ボクスターの高額査定のポイントといえば、カラーバリエーション。ボディーカラーと幌、また内装カラーの組み合わせで表現される幾通りもの個性が価格へと反映されます。
「個性的なカラー=不人気色」ではなく、ポルシェ買取.CAFEは個性的なカラーほど大好きですので、一般的な相場よりもずっと踏み込んだ査定ができ、高価買取が可能なのです。
1996年に登場した「タイプ986」から数えて現行モデルの718シリーズで4世代目となるボクスター。
開発が始まった1990年代前半はポルシェの経営が厳しかった時代で、ポルシェの社運をかけたビッグプロジェクトから誕生した車だからこそ、現代まで脈々とその血を受け継いできている。
その初代モデルの986の発売期間は8年間。
その間になんと5度にわたるマイナーチェンジや新たなラインナップ発表を行なっている。
初めはボクスターのみのラインナップしか用意されていなかった。
その後に最高出力260馬力で排気量3.2LのボクスターSはが1999年に販売が開始されている。
リアトランクの後ろには電動式リアスポイラーが装備され120km/h以上で立ち上がり空気抵抗を4%、リアアクスルのリフトを31%低減する。スポイラーは80km/h以下で格納されるが、運転席側の足元にあるスイッチで手動操作も可能。
2003年には大幅なマイナーチェンジを受けた986最終モデルが発売される。
エンジンでは、カムシャフト回転角を最大40度まで無段階調整ができるようになった新型のバリオカム(バリオカム・プラス)を採用し、ボクスター、ボクスターSともに8PSアップ。
インターミディエイトシャフトと吸気側と排気側カムシャフトが1本のタイミングチェーンで駆動されるようになり、カムシャフト駆動機構がシンプル化された。
また、シリンダーライナー下端にバイパスチャネルも設置され、クランクケース内で燃焼ガスが循環しやすくなり、ピストンの往復運動によるポンピングロスが減少した。
ソフトトップが改良され、リヤウィンドウがビニールから熱線入り安全ガラス製に替わり、ソフトトップの骨組みも(天井部骨組みが1本追加された)変更された。ソフトトップの改良による空力改善もおこなわれた。
新デザインの17インチアルミホイール(ボクスターSに標準装備)は、トータルで2kg以上軽量化され、さらにオプションの18インチホイールは4本合計で10kg以上もの軽量化を果たしている。
前後バンパーの形状変更、ウインカーのクリアレンズ化、マフラー形状の変更など、エクステリアの変更も多い。ユーティリティではエアコン操作部に引き出し式ドリンクホルダーが装着され、助手席エアバッグ下に容量5リットルのグローブボックスが装着された。
ここで今のボクスターの原型が完成されたとの声が多い。
そして2004年に986型から987型へとボクスターはフルモデルチェンジが行われた。進化は運動性能はもちろんのこと、ソフトトップの開閉には12秒、さらに50km/h以下では走行中の開閉も可能とした。
さらにオーバーステアやアンダーステアが出た際、4輪を独立して制御し、コントロールを復活させるという優れた技術「PSM」を標準装備。オプションでは状況に応じてショックアブソーバーを5段階に自動調節してくれる「PASM」が選択可能となった。
フルモデルチェンジによりボディ剛性や足回り、内外装、全てにおいて先代986型を凌ぐ実力を有している。987型のボクスターは、2005年に発売されたケイマンのベースとなった。
2012年にフルモデルチェンジして誕生したのが三代目となる981ボクスター。ソフトトップの開閉はさらに短縮され9秒となり、今まで必要だった手動によるロックも不要になった。
フロントガラスが100mm前に移動したため、ダッシュボードの面積も広くなったことが大きな特徴。
エンジン性能も強化され、ピストンの強度が上がったことで圧縮率が高くなり、それによってパワーアップしたことも魅力的な変更点だ。外観の大きな変更は、やや角型となったランプ類とコンバーチブルリッドが廃止された幌、拡大されたサイドの空気取り入れ口である。
サイドの空気取り入れ口はドアを含めた掘りの深いデザインに変更され、実効面積も拡大された。
これはドアが991と共用でなくなったので可能になったデザインである。
コンバーチブルリッドが廃止された幌はシステム全体で12kg軽量化され、幌の開閉も987型と比べて迅速化され9秒で可能となった。人力によるロック解除〜ロックの動作も不要となった。フロントガラスは100mm前側に移動され、それに伴いダッシュボードの面積が広くなっている。
エンジンは、987型に対して200cc縮小された水平対向6気筒2.7リットルとなった。
排気量は減少となったが、強度が上がったピストンの採用により圧縮率が高められ、最高出力は10PSアップした265PS/6,700rpm、最大トルクは280Nm/4,500-6,500rpmとなった。
ボクスターSの排気量は従来どおり3.4Lのままだが、最高出力は5PSアップの315PS/6,700rpm、最大トルクは360Nmになった。
幌の構造を改善したことにより幌を閉めた状態での静粛性も改善している。オプションで搭載できるPASMについては、電子制御ダンパーのセンサーが、991の場合と同じく2個から4個に増やされ、より細かい制御ができるようになった。リヤ側のトランクは987型と比較して、大幅に狭くなった。これはデザインの変更によるものである。リヤウイングは987型と同じく可動式であるが、より効果の大きなデザインに変更された。
2014年から「GTS」グレードも設定され、PASMなどのオプションが標準装備され、車高も10mm下げられるなど、ファンを飽きさせない魅力あるグレードも発売された。
そして2016年に型式としては982となる現行型718ボクスターが誕生。718はボクスターとケイマンが属するモデル名だ。
以前はボクスターがエントリーモデルだったことに対し、このモデルからケイマンの上位機種としてボクスターが位置づけされた。
大きな変更点といえば以前までの水平対向6気筒エンジンに対し、今回からはダウンサイジングターボとなり、水平対向4気筒ターボチャージャーエンジンへと変更された。以前のNA型とは違った、ターボならではのフィーリングに定評のあるモデルへと進化を遂げた。
テクニカルに大きな変化を受けた次期ボクスターはマーケッティング面でも変化も見せる。まずモデル名が「718ボクスター」「718ボクスターS」となり、リアのバッジにもそう書かれる。
そう、1953年から1957年に生産された伝説のミッドシップ・ロードスター「ポルシェ550」から進化、誕生した。
【総評】
ボクスターの歴史は既に20年を超えようとしているが、常に攻めの姿勢を崩さないオープンカーを代表する名車だと感じる。
ポルシェの初オーナーを夢見る人にも入門として最適な1台ではないだろうか。
また、老若男女引き付ける魅力の一つとして特別限定車などの限定グレードが多く出ているのも人気の要因だろう。
ボクスターをきっかけにポルシェに魅了される人が増える事は、現ポルシェオーナーにとっても嬉しい話だろう。